書評: フキハラの正体 | 感情可視化から導かれたネガティブな感情の理不尽な伝播

mental/book
概要
  • 書名: フキハラの正体
  • 副題: なぜ、あの人の不機嫌に振り回されるのか?
  • 著者: 満倉靖恵
  • ISBN: 9784799329177
  • 出版: 2022-12-23
  • 読了: 2023-02-17 Fri
  • 評価: ☆5/5
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ぐぬ管 (GNU social JP管理人)|gnusocialjp@gnusocial.jp
先日のブロックの件。私は不機嫌ハラスメントのようなものだと思っています。読んでみますか。 「不機嫌ハラスメント」解説本が登場 – 怒っている人の隣にいるだけで高ストレスに!? https://www.msn.com/ja-jp/money/career/%E4%B8%8D%E6%A9%9F%E5%AB%8C%E3%83%8F%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88-%E8%A7%A3%E8%AA%AC%E6%9C%AC%E3%81%8C%E7%99%BB%E5%A0%B4-%E6%80%92%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E4%BA%BA%E3%81%AE%E9%9A%A3%E3%81%AB%E3%81%84%E3%82%8B%E3%81%A0%E3%81%91%E3%81%A7%E9%AB%98%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%81%AB/ar-AA14WyS3?ocid=entnewsntp&cvid=8bdcb2f240ba40ee8ffbead989ffdcd6

上記の投稿で「「不機嫌ハラスメント」解説本が登場 – 怒っている人の隣にいるだけで高ストレスに!? | マイナビニュース」を知りました。

直前に、「告知: Misskey.ioからのドメインブロック | GNU social JP」のドメインブロック騒動でまさにフキハラを受けていたと考えており、その対策の参考にしたいと思って興味を持って読みました。

評価

約20年の年月をかけて、脳波から感情の可視化に成功した著者による発明品の「感性アナライザ」を用いた感情の様々な実験結果から導出された事実がまとめられた書籍でした。

書籍の構成は以下となっていました。

  1. 研究の概要
  2. 人間の感情の基本特性
  3. 「フキハラ」メカニズム
  4. 「フキハラ」対策

著者が提唱するフキハラ (「不機嫌ハラスメント」) とは、不機嫌な態度を取ることで、周囲に伝播するストレス現象のようです。不機嫌にしているだけで、周りに人間にストレスが発生するということで、誰もが加害者になりえ、お互いに害やストレスを認知しにくいという、無意識化で生じる一種のハラスメントだそうです。

感情の可視化によりこのフキハラが明らかになったようです。

まず、人間の感情には以下の性質がありそうです。

  1. 「ネガティブな刺激」には敏感で、「ポジティブな刺激」に対しては鈍感である
  2. 「ネガティブな感情」は払拭しにくく、「ポジティブな感情」は持続しにくい

さらに、感性アナライザが検知できるように、ネガティブな感情は言葉や態度に表さなくても近くの人間も検知できるそうです。

上記の基本性質から、その対策は以下のようでした。

  1. 隔離
  2. ネガティブな感情の抑制 (音楽、映像、香り)

感情の可視化という今までできなかった画期的かつ日常的な内容で、非常に興味深かったです。

参考
p. 4: フキハラとは

「不機嫌ハラスメント」の略。

不機嫌な態度を取ることで、相手に不快な思いをさせたり、過剰に気を遣わせたり、精神的な苦痛を与えること。

本人が意図している/いないに関わらず起こりうる。

本書て提唱するフキハラの定義でした。

p. 8: はじめに

「不機嫌な感情そのものが他人の心に影響を与える」

このことを明らかにしたのは「脳波」です。


その脳波を約20年の年月をかけて詳細に解析し、感情を可視化するのが、私たちが世界で始めて開発に成功したリアルタイムで感情を計測できる装置、「感性アナライザ」です。

本書のベースとなっている、計測装置の「感性アナライザ」でした。今まで計測、定量化、可視化が不可能だった感情の可視化に成功したという画期的な発明だと思いました。

これにより、ポジティブな感情はなかなか高まらず、高まったとしても維持しにくい一方、ネガティブな感情はちょっとしたきっかけで高まり、しかもなかなか収まらない。そして、ネガティブな感情は他人に伝播するということを実験であきらかにしました。

p. 22: 見えない感情を理解するのは難しい

もしも、「見えない感情」を、見えるようにすることができたらなら–。

そんな興味に駆られた私が、感情を可視化する鍵として注目したのが脳波でした。

著者がこの研究を始めた動機でした。

p. 24: 心の状態は脳波にあらわれる

脳波について皆さんがよく耳にされるのは、「モーツアルトを聴くとアルファ波が出る」「ストレス状態になるとベータ波が高くなる」といったことではないでしょうか。


表1 脳波の周波域による脳の状態の違い

  • ||周波数|状態|
  • |デルタ波|-3Hz|徐波睡眠など|
  • |シータ波|4-7Hz|深い瞑想状態、眠気など|
  • |アルファ波|8-13Hz|リラックス・閉眼時|
  • |ベータ波|14-30Hz|能動的で活発な思考、集中状態、20Hz以上は緊張状態|
  • |ガンマ波|31-70Hz|興奮、知覚や意識|

脳波の周波域における状態が簡単に説明されていました。

p. 27: 複雑さとノイズが脳波の弱点

つまり、「脳波に心の状態があらわれている」のは間違いないにしても、複雑でノイズだらけの脳波をただ眺めているだけでは感情の変化を捉えることなどできません。

そこで私たちは研究を重ね、脳波データからリアルタイムにノイズを除去するアルゴリズムの特許を取得しました。その上でさらに綿密な周波数解析も行いました。

そしてついに、ストレスがかかっているとき、嬉しいとき、集中しているとき、といった感情ごとの脳波のパターンが見えてきたのです。


感情について考える上でもう一つ、忘れてはならないのがホルモンです。

ホルモンとは主に内分泌臓器や組織で作られる情報伝達物質のこと。

感情の可視化の研究課題が説明されていました。その他、ホルモンについて説明がありました。名前はよく聞きますが、どういうものかよくわかっていなくて、情報伝達物質ということで理解できました。

p. 35: 「いいこと」には鈍感で、「嫌なこと」には敏感な脳

「快適度」を示す脳波も「満足度」を示す脳波も出てはいますが、その上昇カーブはかなり緩やかです。


美味しいものを一口食べた瞬間に「ああ、幸せ〜」などと私たちはよくつぶやいたりしますが、どうやらそれは単なる思い込みで、実際には食べた直後に幸せ度が急激に上がったりはしないと考えるほうが良さそうです。


つまり脳は「嫌なことを」に対しては非常に敏感に反応するのです。

ここから感性アナライザを用いた実験をベースにした考察が展開されます。

その始めに、人間の感情を理解する上で基本的な特性の「いいことには鈍感、嫌なことには過敏」を説明していました。

p. 38: 「嫌」には執着し、「心地良さ」はすぐに忘れる

反応の速さでは、かなりの大差をつけ「ネガティブな感情」のほうに軍配が上がりました。 では、感情の「持続力」のほうはどうでしょうか。


つまり、私たちの脳波、「いいこと」に対する「快適さ」について、あっさりと手放してしまう一方で、「嫌なこと」に対する「不快感」や「ストレス」をしつこくいだき続けるという困った傾向があるのです。

2点目の重要な特徴として、感情の持続について、快適さは短く、不快感は長いの説明でした。

p. 41: 人の興味はうつろいやすい

つまり、人の脳は「興味」も長く維持することができないのです。

ポジティブな感情について、興味がどれくらい維持するかの考察でした。この結果から、テレビ番組の盛り上がる直前のCMの効果がないのではという考察もありました。

p. 43: ポジティブな感情を長続きさせる方法は?

つまり、この結果からは、ポジティブな感情を長く持ち続けるには、ポジティブな刺激を繰り返し与えることが大事だということがわかります。

ここまででポジティブな感情は鈍感で、維持しにくいという事実から、維持する秘訣の考察でした。好きな音楽や映像、好きな香りなどで継続するのが良いようです。

p. 48: たとえ幸せでもストレスは消えない?

これらの実験から間違いなく言えるのは、「ポジティブな感情」がどんなに高まっていても、あるいは、「幸せで胸がいっぱい」だと思いこんでいても、「ネガティブな感情」はやすやすとそこに入り込む、ということです。

ポジティブな感情で、ネガティブな感情を打ち消せるのではないかという実験の結果から、それは難しいという考察でした。

逆にネガティブな感情は、いとも簡単にポジティブな感情を打ち消すということでした。

p. 60: 人が発する刺激に感情はより強く揺り動かされる
  • 「ネガティブな刺激」には敏感で、「ポジティブな刺激」に対しては鈍感である
  • 「ネガティブな感情」は払拭しにくく、「ポジティブな感情」は持続しにくい

フキハラという人から伝播する現象の解説の前に、第1章のおさらいでした。

p. 61: 感謝はうまく伝わるのか?

この結果らは、感謝されたからといってあまり感情は動かされないこと、つまり「ありがとう」という言葉に、残念ながら、「魔法」のような力はないことがわかります。脳の実態としては、残念ながら、「感謝する甲斐がない」と言えるかもしれません。

ただし、「ネガティブな感情」の敏感さと、「ポジティブな感情」の失われやすさを考えると、親切を無視するかのような態度を取ったりすれば、相手は「ストレス」を募らせ、「好き」や「満足」といった「ポジティブな感情」を失っていく可能性が高いのは確かです。

そのため、相手の「ポジティブな感情」を最低限現状維持させるためにも、やはり、必要なときには感謝の気持をきちんと伝えるに越したことはないでしょう。

よくいわれる人への感謝の効果の考察でした。実際は、感謝によるポジティブな感情はほぼ発生しないものの、逆に感謝されなかったことに対するネガティブな感情の抑制という意味合いが実態は強いようです。

p. 64: 脳はかなり疑り深い

想像されるのは、「よく知らない相手が急に自分を褒め始めたことで、相手には何か裏があるのではないかという余計な疑いを抱いた」可能性です。そのせいで「ストレス」が上がり、その分「好き」がかき消されたのかもしれません。

もしそうなら、「褒められて嫌な気になる人はいない」というのは、必ずしも事実ではないということになります。

感謝の次に、褒めることの実験でした。顔見知り程度の教師が学生を褒めるという実験でしたが、単に褒めるだけでは効果はないようで、むしろ疑念を抱かせるだけで逆効果のようです。

p. 67: 「信頼感」は褒められたから高まるのではない

つまり、この「好き度」を示す脳波は元々被験者が抱いていた「先輩に対する信頼感」を表しているのです。


信頼関係も築かれていないうちに過剰に褒め続けたりすれば、相手の感情がポジティブな方向に反応するどころか、かえって不信感を抱かせる結果になる危険もありそうです。

顔見知りからの褒めるは疑念を抱くだけだったので、今度は信頼している先輩で試した結果でした。褒めるという行為よりも、元々の地道に築かれた信頼関係のほうが大事のようです。

この不用意に褒めちぎらないというのは、「書評: 心配すんな。全部上手くいく。 | ヒカルの勝ち方=徹底的差別化 | GNU social JP」のまさにヒカルの勝ち方のセオリー通りでした。

p. 73: 「悪口」で人は想像以上に傷ついている

ただ、私が聞いたのは直接的な悪口ではなく、あくまでも「悪口を言われているという情報」です。そもそも「実験のために、誰かが私の悪口を言っていたら教えて」と自分からお願いしたわけですから、私もそれないrの覚悟をもって受け止めていますし、相手だって多少なりとも言葉を選んだことでしょう。それでもこの結果なのですから、常軌を逸するような誹謗・中傷といった類の言葉が人の心に与えるダメージは計り知れません。

ポジティブな発言は効果が薄いことを示したので、今度はネガティブな発言の検証結果でした。覚悟した上でもやはり効果が高かったようです。

p. 78: 「嫌い」はいとも簡単に伝えあう

相手に嫌な感情を持っている人のペアで、「嫌な感情」を言葉や態度で出さない状態で会話してもらった実験の考察でした。

一切表に出さず、むしろ隠したい感情にも関わらず、相手に「嫌い」の感情が伝わっていました。「フキハラ」のメカニズムが見えた実験でした。

p. 85: 脳波からの信号で、不機嫌がうつる!

それらを踏まえれば「ネガティブな感情」は、ある人の脳からでる「ネガティブな感情」の”電気信号”が別の人の脳に直接入ることで伝播している可能性が高いと私は考えています。

この節の前後にも、好きとか不満などの伝達実験が何個かありますが、好意は伝わらず、嫌悪は言葉に発せずとも伝わるという結果でした。

この結果を受けて、感性アナライザのように、人間にも他人の脳波を検知しており、影響が作用しているのではないかという考察でした。

p. 90: 「不機嫌ノーラ」のせいで起こる「フキハラ」

脳波研究からわかったことは、不機嫌が脳からダイレクトに脳波を介して周りにいる人に伝わるということ。まさに、脳が「ネガティブテレパシー」を発していたのです。


ポジティブにとらえられることの多い「オーラ」とは異なり、ネガティブな方向に影響を及ぼすことが多いのが残念なところではありますが、生体が発する「オーラ」と同じように、脳が発する電気信号のことを、私は、「脳のオーラ」、略して「ノーラ」と呼んでいます。

また、脳が伝える「不機嫌」な感情の電気信号を、他の電気信号と差別化して、「不機嫌な脳のオーラ」、着して「不機嫌ノーラ」と呼んでいます。

本書のメインテーマであるフキハラの説明に入るにあたって、用語の定義でした。

p. 93: 「フキハラ」のダメージは想像以上

電話で長々とクレームを訴えている人のそばに被験者を配置した実験で、フキハラのダメージの考察がありました。

隣りにいるだけで、ストレスが高まっており、別の部屋に移動すれば治まるかと予想したものの、出た瞬間だけで元に戻ったそうです。フキハラが発信者によらないことを示す実験でした。

p. 95: 「フキハラ」被害の理不尽な実態

なぜ、「フキハラ」の被害者のほうばかりが「ネガティブな感情」を引きずるのか、その理由については想像するしかありませんが、被害者はいわば「もらい事故」のような形でストレスを受けているぶん、自分のストレスに気づきにくく、そのせいで、ストレスを解消するための行動を起こしにくい、ということがあるかもしれません。

だとすれば、「不機嫌な人のそばにただいるだけでもストレスが高まる」という事実を知っておくことは、自分自身のストレスコントロールのためにも必要だと言えるでしょう。

この実験では、頼んでいた荷物が届かずにイライラしている加害者と、被験者の実験でした。荷物が届いたことで加害差yのストレスは解消されたものの、被験者は収まる気配がないという結果でした。

また、その理由として、被験者は自分のストレスを認知しにくく、解消行動も起こしにくいというものでした。また、ここでフキハラ対策として、近づかないという原則の示唆もありました。

p. 98: 不満をぶちまけるのは「フキハラ」の一種

さしたる悪気もなく起こってしまう「フキハラ」は、知らず知らずのうちに誰もが加害者にもなりえます。

そんな「無自覚な加害者」にならないよう、イライラした気分を抱えているときは、極力他人から距離を置くほうがよいでしょう。


そもそも「嫌なことを誰かに聞いてもらうとスッキリする」というのも、かなり疑わしいということを示すデータもあります。


ただし、気持ちの整理がつかないうちは確実に不機嫌ノーラ」を発するので、そばで話を聞いてもらう相手に強いストレスを抱かせる可能性は高いです。

そう考えると、「誰かに不満を聞いてもらう」という方法は、かなり自分本位のやり方だと言えそうです。

愚痴に付き合ってもらったのなら、その後で一緒に美味しいものを食べるとか、楽しいことをするなど、少しでも相手のストレスを下げるためのフォローをするのが、せめてもの償いかもしれませんね。

愚痴の効果の実験でした。愚痴を言うことで、ストレス度が下がるという実験はまだ取れていないものの、愚痴を行うと、ほぼ確実に聞き手にストレスを与えるので、控えるか、アフターフォローが必要では?という考察でした。

p. 103: 「フキハラ」から身を守るのはフィジカルディスタンス

最も手っ取り早いのは、「不機嫌ノーラ」を発信している人から物理的な距離を置くことです。


「物理的な距離を置く」というのは、「不機嫌ノーラ」の発信者になりそうなときにも、もちろん心がけるべきことです。

ここから「フキハラ」の対策論が始まります。まず、手っ取り早くて効果があるのは、物理的な距離を置くというものでした。感染症などと同じ用に、隔離が有効のようです。自分のストレスが溜まっているときも一人になることは心かげたいところです。

p. 105: 「フキハラ」対策としてのストレスコントロール

第1章でもお話したとおり、「ポジティブな感情」で「ネガティブな感情」を上書きするのは簡単ではなく、効果があるとしてもそれにはかなりの時間を要します。ですから、「ポジティブな感情」の力で「ネガティブな感情」のレベルを下げようとするより、「ネガティブな感情」自体のレベルを下げる工夫をするほうが効率的だと思います。


具体的にはゆったりとした音楽を聴く、心が癒やされるような (例えば可愛らしい動物などの) 映像を見る、といったことが挙げられます。


好きな香りを嗅ぐことにもたかりリラックス効果があります。


ただし、あなたの好きな香りが、相手にとって嫌いな香りの場合は逆効果になりますので、そこは注意が必要です。

隔離作戦が使えない場合の、対策が考察されていました。まず、ポジティブな感情での上書きは効果がないので、ネガティブな感情の抑制自体が大事ということで、音楽、映像、香りを挙げていました。

p. 110: 「嫌」が共通している人こそがベストパートナー

一方、「ポジティブな感情」のほうは同調しにくいという特徴があります。だからパートナーのほうだけが「好きなもの」「楽しいこと」を、無意識のうちに好きになったり、不思議と楽しめたりするということはあまりありません。

つまり、本当に相性がいい人というのは、「ネガティブな刺激」に対する脳波の波長が合う人、と言ってもいいのではないでしょうか。

「喜び」に関しては誰と一緒にいようが、あまり変わらないと思います。

恋人選びにおいて、フキハラのメカニズムからいうと、ポジティブな感情よりもネガティブな感情のほうが、お互いに伝播して影響が大きいことから、「嫌」が共通しているほうがうまくいくそうです。

p. 113: 「嫌」は最強のモチベーションにもなる!?

もちろん、「嫌」があまりにも大きすぎれば、「集中力」はかえって下がる可能性のほうが高いことと思います。

でも、例えば、ライバルがいるとかミスを横から指摘されるといった「ちょっとイラッとする状況」には、集中力を高める効果はありそうです。

フキハラの原因にもなるネガティブな感情の利用方法の実験・考察でした。ミスをするほど報酬を下げるという実験で、近くでわざと雑談などの邪魔をすると、集中力が高くなるそうです。

p. 143: 「心の不調」を軽減するのはネクタリンの香り

フキハラ対策として香りがありましたが、その中でもネクタリンの香りのストレス軽減効果が顕著だったという結果報告でした。

同様のストレス軽減効果は、15分散歩、足湯20分、ジェットコースター1回、カラオケなどがありますが、ネクタリンの香りはたった30秒で、しかも2-4時間の持続効果があるそうです。好きな香りは万人に通用しないので、ネクタリンで汎用的なのは参考になるかもしれません。

p. 145: オレンジの香りで仕事の効率が50%アップ!

ポジティブ向上として、オレンジの香りが効果があるそうです。集中力が5 %アップしており、1時間のタスクが40分に短縮できた相当の効果があるそうです。また、これも2-4時間の持続効果があったそうです。

p. 147: ゆずの香りの驚くべきパワー

確かに「好き」が上がること自体にはあまり大きな意味はありません。

ただ、「好き度」を示す脳波が強く出たのは、オキシトシンなどのホルモンの分泌量が増えたせいです。

お気都心は、愛情ホルモン、あるいは、幸せホルモンとも呼ばれるホルモンで、この分泌が高まることで、幸せな気分になったりストレスが緩和されたりして、情緒の安定がもたらされることがわかっています。また、記憶力の向上や美肌効果も証明されています。

最後にゆずの香りが「好き度」を大きく変えたそうです。アロマなどの香りの効果はたしかにあるようです。

結論

約20年にも及ぶ研究成果から得られた多くの実験結果の成果でした。

読んだその日から日常に活用できる非常に有益な書籍でした。

ただ、ポジティブな感情の増幅、共有は難しいというなんとも敗北感の漂う結果でした。

感謝、称賛、喜びの共有に効果が薄く、愚痴は聞き手にストレスを与えるなど、今までの常識が覆るような内容も数多くありました。

また、ネクタリン、オレンジ、ゆずなどの香りに効果があるというのも参考になりました。

この本で学んだ内容で、職場などで、不機嫌な人がいる場合、自分が不機嫌になった場合に周囲に迷惑をかけないように心がけたいと思いました。

コメント

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