概要
ipmitoolの開発者のAlexander Amelkinが、2023-03-01にGitHubから追放されたとの話題があったので紹介します。
ipmitoolは、IPMI (Intelligent Platform Management Interface) というサーバーのハードウェアの管理用プロトコルのコマンドラインツールのOSSで、Linuxサーバーの管理ツールとのことです。GitHubのリポジトリ―は「ipmitool/ipmitool: An open-source tool for controlling IPMI-enabled systems」です。
2023-03-13の「ipmitool Repository Archived, Developer Suspended By GitHub – Phoronix」の記事が発端だったようです。
内容
以下の投稿群で拡散されていました。
IPMIを喋るサーバをコマンドラインから操作するオープンソースソフトウェアipmitoolの開発者が予告なくgithubからアカウントを停止されて、ipmitoolは開発を継続できなくなったという話https://t.co/LjwTzXXysH
— Fadis (@fadis_) March 15, 2023
githubはこの件に関してコメントを出していないが、ipmitoolの作者がモスクワ在住な事と関係しているのではと噂されている。尚オープンソースなIPMIを叩くための実装としてはipmitoolの他にもFreeIPMIがよく知られている https://t.co/l2PNOuR7pF
— Fadis (@fadis_) March 15, 2023
うわぁ… ipmitoolの開発者がGitHubからbanされた件だけども、先ほど開発者本人がLinkedinのスレッドにコメントしてて、やはり米国によるロシアへの制裁が原因とGitHubから返答がきたらしい。
— Shuji Sado (佐渡 秀治) (@shujisado) March 15, 2023
nginxがGitHubへ移動すると言ってしないのは今のとこ正解か。つか他もやばい。 https://t.co/wxOD72o0PQ https://t.co/3gw0zEHLdd
ipmitoolは昔追ってたのに開発者がロシア人だったとは気付いてなかったな。開戦半年までは幾つかのプロジェクトに張り付いてたけど、また再開かねぇ。もうモスクワ周辺はあまり切迫感なさそうなんだよなぁ
— Shuji Sado (佐渡 秀治) (@shujisado) March 15, 2023
YADROってロシアでは最大のサーバーとストレージベンダーと気が付いて発見。2月24日に米国商務省の制裁リストに加えられたようだ。つまり輸出規制リスト入り。GitHubアクセスもハイテクへのアクセスということで遮断なのだろう。こりゃ西側のサービスは全部ダメ。 https://t.co/4ocLVbEISx
— Shuji Sado (佐渡 秀治) (@shujisado) March 15, 2023
昨年9/15に制裁リスト入りとの話をもらったが、記事をよく読むとこの時はYadroの機器製造部門だけだったぽい。で、今回はYadroが属する企業グループであるロシア最大のコンピュータ機器ベンダーのKNS Group全体が制裁対象のようだ。https://t.co/yViDtk2VnG
— Shuji Sado (佐渡 秀治) (@shujisado) March 15, 2023
Amelkin氏にLinkedinでコメントしておいたら中国のOSChinaにスクショで記事化されてた。Giteeの英語UIがそこそこであれば中国かもなぁ。西側排除したロシア政府版のGitHub計画があるが、それらに乗っかるよりはまだマシだろう。https://t.co/lGhlfbSGH9 pic.twitter.com/FUT3sdxPem
— Shuji Sado (佐渡 秀治) (@shujisado) March 16, 2023
2023-03-16のOSCHINAの「ipmitool 开发者账号被 GitHub 无故封锁,项目被归档 – OSCHINA – 中文开源技术交流社区」でも報道されたようです。
ipmitoolの著者は別人であるものの、2018年からAlexander Amelkin (AlexanderAmelkin (Alexander Amelkin))がこのソフトウェアを保守していたそうです。2023-03-01に事前通知・連絡もなく、いきなりGitHubの個人アカウントを停止され、全プロジェクトがPublic archiveで孤立状態になったそうです。
GitHubから説明がないので、正確なことはわかりませんが、Amelkinが所属しているYadroやその所属するロシア最大のコンピューター機器ベンダーのKNS Groupが、凍結直前の2023-02-24に米国商務省の制裁リストに加えられており、制裁強化が理由の可能性が高いようです。
Amelkin自身は政治活動に一度も参加したことはないと投稿しているようで、出身国で敵意や政治に関与しないソースコードのホスティングサービスを探しているようです。中国のGiteeや日本のOSDNが提案されていました。
1年前の2022年2月末にロシアとウクライナの抗争が始まってから、OSSの中でもロシアへの制裁がありましたが、その一環のようです。
LinuxのネットワークコードにてロシアのBaikal Electronics由来の開発者とコードが排除されている?という話。BaikalはMIPSやARMベースプロセッサ開発企業で米国の制裁対象。ipmitoolとは違って明確なbanかは分からない。まあ、身元確認とかいずれ本当に導入されるかもなぁ。https://t.co/MbKLPFZBFl
— Shuji Sado (佐渡 秀治) (@shujisado) March 16, 2023
また、その後上記のようにLinuxカーネル開発でもロシア企業所属開発者排除の動きがあったようです。
結論
今回の報道を見た私の所感は以下の通りです。
!sns GitHubも中央集権型ですから。 Mastodon/MisskeyはGitHubを使っていて、GNU social/Pleroma/mitra/Rebasedなどは使っていません。 中央と分散の思想の違いですかね。 ぐぬ管 (GNU social JP管理人)|gnusocialjp@gnusocial.jpx.com
Git自体は分散型ですけど、ホスティングサービスは一極集中してますからね。 分散型バージョン管理システム「Git 2.40」が公開|CodeZine(コードジン) – https://codezine.jp/article/detail/17531 ぐぬ管 (GNU social JP管理人)|gnusocialjp@gnusocial.jp
git自体は分散型バージョン管理システムで、サーバー機能も付随しています。ただ、ホスティングサービスは別にあって、そちらはGitHubなどの不自由なWebサービスに一極集中しています。
GitHubの現在の一極集中状態はTwitterや分散SNSとも同じ構図です。最近だと「話題: 「分散できないのはどう考えても僕たちが悪い」 | GNU social JP」で紹介しました。
「告知: gnusocial.jpの初の被ドメインブロック | GNU social JP」で私が政治的立場の考察をしただけで袋叩きにあいましたが、実際はGitHubを使うということは、アメリカ支持という政治的な立場の表明に他なりません。
アメリカ支持の立場を表明したくないならば、ソースコードも他のホスティングサービスや自分でホスティングするしかありません。
分散SNSといいながら、実際はメガサーバーがあり、サーバー・ソースコードのホスティング業者まで考えると、本当に分散しているかどうかは怪しいところです。
GNU social/Pleroma/mitra/Rebasedなどは、分散の意味が分かっているので、GitHubを使っていません。
「分散」という言葉の意味、なぜ分散が必要なのかをよく考えたほうがよいかもしれません。
詳細プロフィール。SNS: Twitter/GS=gnusocialjp@gnusocial.jp/WP=gnusocialjp@web.gnusocial.jp。2022-07-17からgnusocial.jpとweb.gnusocial.jpのサイトを運営しています。WordPressで分散SNSに参加しています。このアカウントの投稿に返信すると、サイトのコメント欄にも反映されます。
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