概要
- 名前: Winny
- HP: 映画『Winny』|公式サイト
- 日付: 2023-03-10 Fri 18:55
- 場所: TOHOシネマズ 六本木ヒルズ
- 評価: ☆3/5
映画公開直前に、ネットニュースやTwitterで話題で、以下の投稿前後で映画の存在を認知しました。
ぐぬ管 (GNU social JP管理人)|gnusocialjp@gnusocial.jpWinnyの件。存在だけ知っています。分散SNSにも関係ありますかね。 レビューに需要ありますか?需要あるなら週末視聴も検討しますけど。 天才プログラマーの不当逮捕と早すぎた最期 実録映画『Winny』が描く事件の背景と国家権力の稚拙な本音 https://www.msn.com/ja-jp/news/entertainment/%E5%A4%A9%E6%89%8D%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%81%AE%E4%B8%8D%E5%BD%93%E9%80%AE%E6%8D%95%E3%81%A8%E6%97%A9%E3%81%99%E3%81%8E%E3%81%9F%E6%9C%80%E6%9C%9F-%E5%AE%9F%E9%8C%B2%E6%98%A0%E7%94%BB-winny-%E3%81%8C%E6%8F%8F%E3%81%8F%E4%BA%8B%E4%BB%B6%E3%81%AE%E8%83%8C%E6%99%AF%E3%81%A8%E5%9B%BD%E5%AE%B6%E6%A8%A9%E5%8A%9B%E3%81%AE%E7%A8%9A%E6%8B%99%E3%81%AA%E6%9C%AC%E9%9F%B3/ar-AA18nGrJ?ocid=entnewsntp&cvid=38ab44aa06df48e6ba52a78eb17cbfa7&ei=44
Winny事件当初は中高生で、その当時は興味もありませんでした。せいぜいゲームの攻略情報をインターネットで使うくらいで、Winnyは危険という認識くらいでした。
現在、P2Pに似た技術を使った分散SNSに興味を持って取り組んでおり、同じP2PのWinny騒動は今の分散SNSとも通じる部分があります。中高生の当時と異なり、IT業界で多少の知識や興味があること、2022年には上場企業相手に本人訴訟しており、裁判の経験もあることから、当時とかなり違った視点で見返せるのではないかと思い、思い立って公開初日に視聴しました。
ぐぬ管 (GNU social JP管理人)|gnusocialjp@gnusocial.jpreplying to ぐぬ管 (GNU social JP管理人)|gnusocialjp@gnusocial.jpwinnyの映画。3/10の明日公開。どうせ見て感想書くなら、最短最速がいいですよね。金曜日の晩にいきますか。新宿あたりにでも映画館ありますかね? 映画館での映画鑑賞は大学院生のときに同級生とみたRe:Cyborg009以来で10年振りくらいです。
ぐぬ管 (GNU social JP管理人)|gnusocialjp@gnusocial.jpreplying to ぐぬ管 (GNU social JP管理人)|gnusocialjp@gnusocial.jp直前に多数入場で30名くらい。 本当の開始時間はいつなのか…5分前の時間だったのか。
ぐぬ管 (GNU social JP管理人)|gnusocialjp@gnusocial.jpreplying to ぐぬ管 (GNU social JP管理人)|gnusocialjp@gnusocial.jpマナー告知が始まったので19:10開始か…
TOHOシネマズ六本木ヒルズ18:55の上映時間で視聴しました。観客は30-40名程度だったと思います。10年ぶりくらいの映画館での映画鑑賞でした。
ぐぬ管 (GNU social JP管理人)|gnusocialjp@gnusocial.jpreplying to ぐぬ管 (GNU social JP管理人)|gnusocialjp@gnusocial.jpWinny。美談化、過大評価されている感が私にはあります。クローズドで不自由なソフト。日本だけでしか通用しないものだったのではないかと。 本人はわざわざダウンロード専用ソフトを使ってたことから、違法アップロードを期待する作りではと。 今晩の映画は批判的な視点で見ます。
なお、視聴に先立って、ネットニュースやSNSのコメントなどをみて、上記のようにWinnyは美談化・過大評価されている印象があり、批判的な視点での鑑賞でした。
TOHOシネマズの映画チケット料金は1900円ですが、auスマートパスプレミアム (月548円) に加入すると、1100円で視聴できるクーポンがもらえて、実質1648円になって入り得だったので、以前解約していたのをこのためだけに再加入しました。
情報
映画に関する情報を整理しておきます。
「「Winny事件を知らなかった」若手監督らに聞く、映画「Winny」を作ったワケ | 日経クロステック(xTECH)」で撮影の経緯がありました。2018年2月のホリエモン万博内の「CAMPFIRE映画祭」での出場で優勝したのがきっかけだったそうです。
後は配給元の告知動画 (告知再生リスト) がいろいろあるので、これを見るだけでも映画の名シーンのイメージがつかめると思います。
評価
2000年前半から後半にかけて大きな話題となったファイル共有ソフトWinnyを巡るドキュメンタリー映画でした。
Winny著者の金子が著作権違反の違法行為の幇助罪として刑事告訴され、金子の弁護を担当した壇弁護士とともに、この裁判を中心とした内容でした。
金子が匿名掲示板の2ちゃんねるにWinnyを投稿したところから始まります。そこからの違法コンテンツのアップロード者の逮捕と金子への捜査、事情聴取から半年後に逮捕。その後、壇弁護士が金子の弁護士として、刑事裁判に挑む内容です。
映画はこの裁判の一審を中心に扱っており、その中で愛媛県警の裏金不正とそのもみ消し、Winnyによるもみ消し証拠の流出など、一審の内容とサブで愛媛県警での騒動が並走する内容でした。
120分ほどの映画で、折り返しの部分が丁度初公判あたりでした。
映画の終了間際で一審の判決が出て、結局有罪。そこから時間が飛んで7年後に最高裁で無罪、そして金子の逝去・葬式で映画は終わります。
映画でうるっときた箇所が以下の2か所ありました。
- 金子の逮捕後、2ちゃんねるの有志が金子の裁判費用のカンパをしたところ、振込人名義で金子への応援エールがあり、それを留置所の金子が読み上げる箇所です。本編特別映像としても公開されています (映画『Winny』<東出昌大、支援者からの応援に涙ぐむ!> 【本編特別映像】 – YouTube)。これはネット民らしいもので、演出だったとしても思わずうるっときてしまいました。
- 映画の終了間際、金子の葬儀の場面で、金子の遺品のメガネを壇に姉が手渡すところ。
視聴直後の感想は以下です。
ぐぬ管 (GNU social JP管理人)|gnusocialjp@gnusocial.jpreplying to ぐぬ管 (GNU social JP管理人)|gnusocialjp@gnusocial.jp19:38。義援金の通帳の応援エールでうるっと。 愛媛県警での領収書の不正と錯綜。 京都府警の情報流出。コードの修正ができない。 愛媛県警の裏金資料の流出。 一審まで。その後7年経過で逝去。 21:15終了。
ぐぬ管 (GNU social JP管理人)|gnusocialjp@gnusocial.jpreplying to ぐぬ管 (GNU social JP管理人)|gnusocialjp@gnusocial.jpうーん…しっとりして終わりました。 なんか個人的にいまいちでした。ドキュメンタリーなので、面白く作るのが少々難しいのかもしれません。 うーん…
ぐぬ管 (GNU social JP管理人)|gnusocialjp@gnusocial.jpreplying to ぐぬ管 (GNU social JP管理人)|gnusocialjp@gnusocial.jp裁判の話がメインで、技術やコミュニティ。裁判の争点についての話がなくていまいちだったのです。 2ちゃんが舞台だから掲示板のやりとりなどあるかと思ったらほぼなし。本人がダウンロード専用版を使ってた件もほぼ言及なし。 技術やコミュニティのことあまりわからない人が作った印象でした。
上記の感想がほとんど言いたいことになります。
映画で金子のことを知ってから認知しましたが、私は知り合いにMediaWikiの元開発者の日本人がおり、彼が体格や調書に署名する間抜けさ含めて金子のような人間でした。そのため、金子のようなタイプの人間を少しは理解しているつもりです。Linux著者のLinus Torvaldsとも会って話したことがあります。間抜けさはないですが、似たような感じです。これらの人間をすぐ頭に思い浮かべて視聴していました。
それを踏まえた感想・不満が以下です。
- 映画は金子・壇目線で始まるもので、天才プログラマー冤罪事件のような、ある種金子を神格化、過大評価するような悲劇のヒーロー的な物語。
- 裁判の抗争、検察・警察との応酬が中心で、あまり変わり映えしない場面が続いていて、内容が飽きるものでした。
- Winnyの技術や、元々が2ちゃんねるが発端だったということで、2ちゃんねるのコミュニティー的なもの、裁判の争点についてIT技術者目線で期待していたのですが、ほとんどなく。
- 裁判の争点は、最初の事情聴取の誓約書や、悪意があったかどうかなどばかり。最初の捜査時に金子がわざわざアップロード機能を使用不能な改造Winnyを使っている点は、個人的に重要な点だと思っていたのですが、そこは一切言及なし。
- 愛媛県警のサブストーリーや、壇が金子に提案する会社設立の話などの伏線の消化不良。
- 金子の物語なので、金子を美談化する内容に偏っている感じがして、ややうんざり。
- 映画内で笑える点は、警察を弁護士が尋問で一本取るところや、金子の変人っぽいところくらい。金子の変人ぶり (3D対戦格闘ゲームねこファイト、プログラムでしか表現できない、裁判の証言中にプログラミング) などは、なんとなく露骨な感じがして私にはうすら寒く感じるものでした。
- 2審以後の7年かかった逆転の途中経過の話は一切なし。
IT技術やコミュニティーをあまりわかっていない人が、一般の人が見て楽しめて、映画として成立させるためにやりやすい裁判を中心にしたのだと思います。が、一般の人がこれを見て面白いと思うのか疑問です。
もう少し映画として面白く作れなかったのか不満でした。80分経過後あたりから早く終わってくれないかと思わず思ってしまいました。娯楽としても、資料としても中途半端な感じがしていていまいちです。
特に感動もしなかったし、学びもなく、別に見なくてもよかったのではないかと思ってしまいました。少々他人に推奨しにくい映画でした。
役者の演技は申し分なく、主演の東出の金子への役作りは本人に見間違う程素晴らしかったと思います。だからこそ、映画としての物語の組み立て方、演出方法に不満が残りました。
なお、「書評: ハロー・ワールド (講談社文庫) | Mastodonが登場する初の小説は先見の明あり | GNU social JP」の評価と同じように、私はITの物語ではこの手の天才プログラマーが活躍するタイプの話を元々好まないので、そこは考慮して私の評価を見たほうがいいかもしれません。
結論
日本のネット史上で非常に大きな話題となったWinny事件の映画でした。
当時は中高生で騒動に対して詳しくも興味もなかったものの、今になって分散SNSとの関連で興味を持って急遽視聴しました。
事前の予想から、裁判が中心の内容になるだろうと予想しており、予想通りでした。
久しぶりのITメインの映画ということで期待していたのですが、私には肩透かしというか少々期待外れで物足りない内容でした。
この件は本当に美談化するようなものだったのか?開発者のモチベーションを削ぐ重要なものだったのか?違法行為予防のための金子の開発のしかた、実装内容に問題なかったのか?世界のフリーソフトの流れからしてそんなに優れたものだったのか?など、疑問が残るものでした。
映画の内容も1審の有罪になるところだけで、裁判の7年からしたら最初の2年くらいのごく限られた部分の話で、事件の全容がわかるものではありませんでした。
役者の演技は申し分なかっただけに、演出・構成をもう少しどうにかできなかったのかが不満でした。
事前の私の期待値が高すぎたのかもしれません。Winny騒動については今のタイミングを逃すともう二度と取り扱わない気がするので、次回に少しまとめたいと思います。
2023-03-12 Sun 17:30追記。「Winny事件の評価 | GNU social JP」でまとめました。
詳細プロフィール。SNS: Twitter/GS=gnusocialjp@gnusocial.jp/WP=gnusocialjp@web.gnusocial.jp。2022-07-17からgnusocial.jpとweb.gnusocial.jpのサイトを運営しています。WordPressで分散SNSに参加しています。このアカウントの投稿に返信すると、サイトのコメント欄にも反映されます。
コメント
[…] 「映評: Winny | 日本のネット史上最大事件の裁判録は分散SNSにも通じるのか? | GNU social JP」で記した通り、2023-03-10 Friに日本のネット史上で最大の事件とも噂されるWinny事件の映画が公開 […]
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