概要
- 書名: Twitterの次のSNS 「Mastodon」入門
- 副題: 完全オープンソースの「分散型SNS」
- 著者: 筑波, 遼 and れるらば
- ISBN: 9784777522293
- 出版: 2022-12-30
- 読了: 2023-02-13 Mon
- 評価: ☆2/5
2022-12-19 JSTに以下の投稿で本書の存在を知り、Mastodonに関する新刊ということで読みました。
【告知】
私がnoteで執筆しましたマストドン関係の記事が3つほど、工学社さんから出版されるアンソロジー本に掲載されることになりました。12月27日発売で、まだ予約中です。内容自体は字体を変えただけで同じものです。是非書籍の方も手に取ってみてください。Twitterの次のSNS 「Mastodon」入門 (I/OBOOKS) https://amzn.asia/d/dF8vJRg
もう1名の著者のサイト「『Twitterの次のSNS「Mastodon」入門』が工学社から発売されました!」でも告知がありました。
評価
私が知る限り、Mastodonに関する本は、2021-03-12出版の「書評: ハロー・ワールド (講談社文庫) | Mastodonが登場する初の小説は先見の明あり | GNU social JP」が最後です。技術・ソフトウェアの内容に関するものだと、2017-09-15の「自宅・ノートPCインスタンス構築ガイド~マストドンを持って街へ出よう!~ (NextPublishing)」以来で実に5年ぶりとなります。
肝心の内容は、Mastodonを一切何も知らない人に向けたもので、Mastodonとは、分散SNSとはから、始まりMastodonの特徴、サーバー、基本的な使い方が説明されたものでした。
前半のMastodon全般の説明がれるらばで、後半の基本機能の使用方法が筑波 寮の担当でした。基本的に、著者が過去にブログで公開した内容を文体などだけ調整したもので、元URLも節毎に記載がありました。ブログの内容を本にまとめたという、2022年10月末のTwitter買収によるブームに乗るための、やや即席的な書籍に感じました。
本当にMastodonを何も知らない人向けに書かれており、特に後半はわざわざ本で読まなくてもわかるだろうというような、投稿、再投稿、お気に入り、リモートフォロー、ミュートなどといった基本項目が、画面キャプチャー付きでこれでもかというくらい丁寧に説明されていたのが印象的でした。
参考
p. 25: 2-5 「Mastodon」でもできないことはある
Mastodonでできない機能として以下が挙げられていました。
- アバターアップロード時のトリミング機能の欠如。
- 登録後のユーザー名 (@) の変更不能
- 同一サーバーでの使用済みユーザー名の使用不能 (削除後も?)
- 検索機能の癖
- 引用投稿機能の欠如
上3個が知らなかったので驚きでした。
p. 29: 3-2 2022年版「Mastodonお勧めサーバ」紹介
Mastodonのお勧めサーバー5選が紹介されていました。お勧めサーバーという節名ですが、実際は公募して立候補のあったサーバーという感じでした。
- vocalodon.net: ボカロ中心。
- vandrare.page: 旅人中心。
- matitodon.com: 地理・交通中心。
- pokemon.mastportal.info: ポケモン中心。
- kirishima.cloud: 汎用。
実体は公募なので、サーバー紹介はあっても、推薦理由がなくて、ややチョイスが不可解でした。特に、vandrare.pageはユーザー数4名の紹介で初めて知ったサーバーで、チョイスが謎でした。現在 (2023-02-16) は登録者28名の小規模サーバーのようです。
p. 112: 筆者名 & URL
筆者名と記事の元となったホームページのURLが以下に記載されていました。
- 筑波 寮 (つくば・りょう) : かんたんブログ
- れるらば: https://note.com/rrrb_n/
結論
Mastodonの入門書でした。久しぶりの分散SNS/Mastodonに関する商業書でした。
ただ、内容がかなり初歩的なものになっていて、インターネットで調べればわかりそうな内容がほとんどでした。代わりに、画面キャプチャー付きでかなり丁寧ではありました。
自分は2017年10月頃から使っており、一部Mastodon固有事項で知らないことがありましたが、正直物足りなかったです。
おそらくですが、本当にMastodonをみたこともきいたこともなく、自分でインターネットで調べるのが億劫な、ややIT音痴な人向けの本に感じました。後は、ユーザーではあるものの、細かいことがよくわかっていない人にとっては、前半の全般の説明は役立つかもしれません。
既にMastodonや分散SNSのユーザーであればそれで十分で、わざわざ本書を読む意味があるのかというのは疑問で、少々他人に推薦しにくい本でした
また、元々工学社のI/O BOOKSシリーズは内容が浅いイメージがあって、嫌な予感がしていましたが、予感通りでした。
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