報道: Twitterの中傷投稿への「いいね」で賠償命令の高裁判決

law/news

2022-10-20にTwitterでの中傷投稿への「いいね」に対して、賠償命令の東京高裁判決が出て、話題になっていたので紹介します。

情報源

訴訟の概要は以下となります。

訴訟概要
  • 原告: ジャーナリスト 伊藤詩織
  • 被告: 自民党衆議院議員 杉田水脈
  • 内容: 2018年6-7月頃、元TBS記者から性的被害を受けたとの原告の訴えを批判するTwitterでの投稿25件に被告が「いいね」を実施した。これにより精神的苦痛を受けたとして、被告に220万円の損害賠償を求めた。
  • 東京地裁判決: 原告の請求を棄却。
  • 東京高裁判決: 原告の請求を認め、被告に55万円の賠償を命令。

2022-11-02までに被告は上告して、最高裁まで審議が継続することが決まっています。

地裁判決では、「いいね」には幅広い感情が含まれ、好意的な感情を示すこと以外の目的に使われ、被告に加害の意図があったことが認められず棄却されました。

高裁判決では、被告が以前から原告を繰り返し批判していたことを踏まえ、「名誉感情を害する意図があった」と認定。さらに、約11万人のフォロワーがいる国会議員の被告の「いいね」は、「一般人とは比較しえない影響力がある」と述べ、賠償責任を認めました。

SNSの「いいね」に対する司法判断は、この裁判以外に前例がなく、SNS関係の裁判としては注目の裁判でした。なお、過去には「再投稿」(リツイート) は元投稿の賛同を示すという司法判断があった記憶があります。

SNSの「いいね」相当機能は、好意的・肯定的な感情以外に、礼賛・賛成・悪くないなどの感情表明にも使われます。また、感情表明以外に、ブックマーク、既読通知など複数の用途にも使われます。

報道の見出しだけだと、単に「いいね」を押しただけで、違法になる可能性があるというやや刺激的な内容に解釈思えました。が、高裁判決の内容を見ると、前後の文脈が重要なことがわかります。今回の場合、影響力が大きいことと、以前から批判を繰り返していたことの2点が高裁判決のポイントになったようです。

したがって、「いいね」を単に選んだだけでは即座に違法にはならないという点で、一般ユーザーには安心してよさそうです。

最高裁まで審議が継続されるので、高裁判決がどの程度考慮されるのか、注目したいと思います。

コメント

  1. […] 自由民主党所属の衆議院議員の杉田水脈は2015年頃からLGBTへの差別的発言を繰り返しており、事あるごとに批判の的になっていました (杉田水脈 – Wikipedia)。その他保守的な言動が多く、過去には「報道: Twitterの中傷投稿への「いいね」で賠償命令の高裁判決 | GNU social JP」の記事にも登場しました。 […]

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