概要
- 書名: 死なばもろとも
- 副題:
- 著者: ガーシー (東谷義和)
- ISBN: 9784344039926
- 出版: 2022-07-30
- 読了: 2022-10-19 Wed
評価
2022年に突如登場したガーシーこと東谷義和の初の著書であり、興味を持って読みました。
内容は、自伝・エッセイ的なものになっており、以下の4部構成になっているようでした。
- 日本からドバイへの逃亡劇
- 生誕からアテンダーまでの経緯
- アテンダー
- ガーシーの今後
また、合間に夜遊びガイドやグルメガイドとして、ガーシー御用達の実店舗の紹介がありました。
日本からドバイへの逃亡経緯、幼少期から今に至るまでの経緯、アテンダーとしての丸秘話などが事細かに書かれており、ガーシーという人物を理解する上で欠かせない内容が満載でした。
読み物としても、一般人の知らないアテンド業の内容、芸能人の実名がふんだんに登場し、芸能界や港区の裏側を垣間見える、刺激的な内容が満載で、飽きない内容でした。
幼少期から血気盛んな人間で、学生時代のナンパ経験がアテンダーや現在のトーク力につながっているようでした。
行動力があり、恩義を大事にし、細かい配慮、計算のできる人間なのだと思いました。清廉潔白な人間ではないものの、筋をきちんと通す人間らしい人間だと思いました。
ガーシー登場時のニュースをよく見ておらず、初期の騒動や騒動の経緯など、当事者から詳しくまとめられており、ガーシー騒動の発端を把握する上でも重要な資料でした。
参考
p. 027: ギャンブルで自殺した俺のオヤジ
ガーシーは賭博中毒で大きな転換を迫られましたが、父親も賭博中毒だったそうです。父親は高校教師でしたが、闇金からの借金で、学校まで追い込みをかけれれ、自殺してしまったそうです。
この件があったから、自身が賭博中毒でお金に困っても、闇金からだけは借金しなかったそうです。
p. 044: 学生時代
ガーシーの青年期の紹介がありました。1971-10-06に兵庫県伊丹市生まれで、コリアンタウンが近所にあり、幼少期は映画『パッチギ!』のようなストリートファイトが日々繰り広げられていたそうです。
10代の頃は走り屋をやっていたそうです。南勝久の『ナニワトモアレ』という漫画が当時世代の武勇伝となっており、この漫画のモデルが当時関西で走り屋をやっていたガーシー達だったそうです。この漫画を見ると、ガーシーの18-20代前半までの生き様がわかるそうです。
車やバイクに乗るだけではお金にはならないので、この当時の資金繰りとして、今のアテンダーに近いことを始めたそうです。ディスコの遊女をナンパして、金持ちの社長に連れて行って5-10万円のお駄賃をもらっていたそうです。
その後、大阪府松原市の阪南大学に進学し、入学後は勉強なんかせず、イベントサークルを結成して、女子をひたすらナンパするヤリサー活動をしていたそうです。ただ、酒の力は借りず、トーク力だけで勝負していたそうです。これが今のガーシーのトーク力の源泉なのでしょう。
ここでは女子大生とヤレル方法の指南がありました。場数が大事で、口が達者かどうかが全てだそうです。口が達者になるには経験がモノを言うので、場数が大事だそうです。ブサイクな芸人がモテるように、容姿は関係ないそうです。
10/20/100/200/1000/2000人と声をかけまくると、どんな口下手な人間でも喋られるようになるので、モテナイ悩みがあるならば、場数をこなせばいいそうです。
p. 050: 社会人時代
大学卒業後は、元々走り屋だったのもあり、ディーラー (自動車販売店) に就職したそうです。ただ、新人研修のマニュアルが合わず、入社3日目にマニュアルを無視して新車を3台販売したところ、研修担当部長から叱られ、これをきっかけにサラリーマンの適正がないと判断して入社1週間程度で退職したそうです。
退職後、同じくくすぶっていた友人にもちかけ、大学のゼミの先生にも相談して100万円を借り、イベント会社を設立したそうです。ただ、イベント会社の営業は相手にしてもらえず、代案として中古車販売に乗り出したところ、これがヒット。大学時代のサークル活動のつてや経験を活かし、ボロ車や事故車をタダ同然で仕入れて、若者に売りつける手法で成功したそうです。その後の、阪神・淡路大震災での復興特需でも大きく儲けたそうです。
中古車販売ビジネスが成功したところで、いろんな仕事も手掛けだしました。その一つが、スカウトです。友人経営のソープランドやファッションヘルスに女性を送り、報酬をもらっていたそうです。この頃に、女子を口説く才能、トーク力に気づいたそうです。
p. 65: アテンダー時代
芸能界との接触を持ったのは、1994年のロンドンブーツ1号2号の田村淳がきっかけだったそうです。当時は、中古車販売、板金工場、イベント企画をやっていたそうです。
そのときに、大阪のミナミの芸能人御用達のバーで出会ったそうです。その後、友人経由で再開する機会があり、交友を深め、淳から東京進出の助言を受け、1995年に東京に進出して、それまでのビジネスと並行してアテンダーとしての活動を広げていったそうです。
p. 93: 忖度と恩義は違う
ガーシーが重視する恩義について説明されていました。カタギ (非ヤクザ) には、貸し借りや恩義を疎かにする者が多すぎるが、ヤクザや芸能の世界ではこれが何よりも大事だそうです。都合のいいときだけ人を利用して、お返しをしない人間は最低で、まともに相手にされないそうです。
ここで似たような言葉の忖度と恩義の違い説明していました。真心がなく、我慢と不満があるのが忖度で、こういう人間関係は弱い。一方、恩義は恩には恩で返すという真心がベースになるので、強い信頼関係があるとしています。だから、損得だけで物事を考え、ガーシーに手のひらを返した人達を許せないそうです。
ガーシーの暴露が恩義の信念に基づいているという行動原理が垣間見える内容でした。
p. 128: アテンドの意味
ガーシーはアテンド自体でお金を稼いでいるわけではなく、友達への紹介が基本スタンス。だから、アテンドで人生がマイナスになるようなことはしない。
過去に、アスリートにアテンドしたところ、女遊びにはまってダメになったそうです。
アスリートは性欲が強く、意思が強くてストイックでないと性欲に勝てないとのことで、それ以来、アスリートへは紹介しなくなりました。
アテンダーと聞くと、売春斡旋・パパ活斡旋などで仲介料を稼ぐかなりグレーゾーンのビジネスですが、ガーシー本人はビジネスとしてやっていたわけではないそうです。ここは他のアテンダーと決定的に違う重要な部分と感じました。
また、p. 157 あたりに記載がありますが、アテンダーとしてのガーシーの仕事は芸能人に美女を手配して元気になってもらって、表舞台で活躍してもらうことが目的で、友達の応援というのが軸のようです。
p. 130: 芸能人の未成年淫行事件の裏側
たまに芸能ニュースで話題になる芸能人の未成年淫行事件について、その裏側について解説していました。
芸能人に女性を紹介するアテンダーが、未成年と知りながら成人と偽って紹介して、このネタで脅して金にしようとした美人局の可能性があるとのことです。
p. 153: モテる男の条件
これまでの多数のアテンド経験から、ガーシー独自のモテ理論が展開されていました。
それのよると、「男は余裕があるヤツがモテる」だそうです。モテたいと思ったら余裕が一番大事で、話の面白さやかっこよさは二の次だそうです。美女にがっつく男は、女性からすると興味がなく、余裕をかましてすましている男に興味を持つ。
イケメンが余裕をかますのがベストだそうです。余裕の次に大事なのは飾らない性格。場面や人で態度を変えない裏表がない人間がいいとのことです。
p. 171: 芸能人と付き合う最短ルート
芸能人と付き合うガーシーの最短ルートが説明されていました。
それによると、一番手っ取り早いのは、「芸能人やタレント御用達の店でのバイト」とのことです。客として出入りするのは出費がかかりすぎ、また、他人が話しかけてきたら警戒される。従業員のほうが警戒されないし、芸能人も従業員に手を出すことがよくあるからだそうです。
女で顔とスタイルに自信がある場合、西麻布のラウンジやバーで働くといいそうです。ただし、水商売の女にろくなものはいなく、すぐにリークされるので、警戒はされるとのことです。
p. 188: 三国志
ガーシーの暴露時の攻撃方法は、攻撃対象の周囲を一人ずつ叩くことですが、これは三国志が元になっているそうです。吉川英治の『三国志』か、横山光輝の『三国志』が勉強になるとのことで推奨していました。
p. 189: ヒカルの謝罪理由
ガーシーの最初の暴露・バトル対象だったYouTuberのヒカルとの件について説明がありました。
当初は真っ先にヒカルに直接攻撃を仕掛けた。ただ、効果が疑問だったので、ヒカルの親友たちに言及していった。これで、ガーシーの怖さに皆が気づき、ヒカルと仲間の間に壁が生まれる。孤立したヒカルがガーシーの知り合いに相談して、諌められガーシーに謝罪して終了したとのことです。
p. 198: 犯罪人引渡条約
ガーシーが現在ドバイに滞在している理由として、犯罪人引渡条約について説明していました。
この条約があると、国外であっても引き渡されるそうです。ただし、この条約がなくても、インドネシアのように日本より経済的に格下の場合、条約がなくても引き渡されることがあるとのこと。2022年6月の新型コロナの給付金の10億円の詐取の犯人が捕まったのはこれが理由だそうです。
ドバイやカタールという国は日本よりも経済的に格上だから安全で、だからドバイに滞在しているそうです。
p. 204: 今後
ガーシーが支持された理由として、老害への不満、イケメンや金持ちへの不満。閉塞感と格差への呪いが乗っているとありました。
あらゆる業界で老害がのさばっているから、腐っている。これをどうにかしたいそうです。
意外なことに、ガーシーのファンの半分以上がSNS世代ではなく、50-60代の印象。30年以上毎日満員電車に乗って真面目にコツコツいきてきたのに、社長や役員にもなるわけでもなく人生の折り返しを迎えた人達がイケメンや金持ちに不満があり、それらと戦うガーシーがダークヒーローに見えるのだと分析していました。
芸能ニュースで若者に人気のイメージがありましたので、この支持者の分析は意外でした。
結論
令和のダークヒーロー、ガーシーの誕生秘話や芸能界の裏側が書かれたエッセイでした。
ガーシーを理解する上で欠かせない情報が満載で、恩義、トーク力の磨き方、モテる男の条件など、日常生活でも役に立つ情報もあり、読み物としても興味深い内容でした。
ガーシーの今後を見届けていく上で、読んでおいて損はないファン必携の1冊でした。
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