概要
2022-09-25 Sunのイタリア総選挙の結果、右派政党を中心とする勢力が上下両院で過半数の議席を獲得し、第1党の右派政党「イタリアの同胞 (FDI)」のジョルジャ・メローニ党首 (女性、45歳) が新首相就任がほぼ確実になりました。10月13日の選挙後初回の議会の招集で就任が確定します。
イタリア初の女性首相で、これまでの左派から右派への大きな方針転換となり、EU情勢への影響が大きいため取り上げます。
選挙
2022-09-25の総選挙は7月に超党派 (左派) のマリオ・ドラギ前政権が内部分裂で崩壊したことで実施されました。
選挙結果は、メローニ党首が率いる「イタリアの同胞」を中心とする右派勢力が「下院」では定数400のうち235議席、「上院」では定数200のうち112議席と、上下両院で過半数を獲得しました。
第一党の党首であることから、首相就任がほぼ確定しました。
イタリアでは初の女性首相で、左派から右派への第一政党転向ということで、イタリアでは非常に影響の大きな選挙結果になったと思われます。
選挙戦では、生活費の高騰やEUの資金供与を受ける新型コロナウイルス危機からの復興計画、ウクライナ支援などが争点となったようです。
イタリアはロシアの原油・天然ガス、ウクライナからの穀物輸入に依存しており、ロシアのウクライナ侵攻を受け、パンの値段が約2倍、光熱費が5倍になるなど、日本以上のインフレが起きており、切実な問題のようです。
政策
右派政党の党首ということもあり、右翼にはおなじみの主張がなされています。
- 選挙期間中はEUに同調し、ロシアへの経済制裁。選挙終盤にはイタリアの国益優先を主張。
- FDI: EU懐疑主義、反移民。性的少数者や人工妊娠中絶の権利制限を主張。
- 連合政党はロシア制裁の見直しを訴求。
- 財政出動の強化
これらの主張を受けて、多くのメディアで極右政党と呼ばれているようです。
特に、ロシア制裁の見直しやEU離反という方針が、EUで物議をかもしそうです。
人物
「筋金入りの右翼「メローニ」を首相にするイタリアはどこに向かうのか 「極右」「女性だがフェミニストではない」とされる彼女を国民が支持する理由(1/6) | JBpress (ジェイビープレス)」の内容を中心に人物像について記載します。
ローマ出身。15歳の時、ネオファシスト政党「イタリア社会運動」の青年組織に参加し、2012年に「イタリアの同胞」を結党します。
国家保守主義者かつ民族主義者。カトリックに基づくイタリアの伝統的家族観を尊重し、中絶や同性婚に反対する宗教保守です。自らは結婚せず、ジャーナリストのパートナーとの間に娘が1人います。イタリアに向け地中海を渡る難民を救助する慈善団体の船を沈めよと発言、今回の総選挙でも海上封鎖を唱え、リベラル勢力から「極右」と批判されます。
外交面での親ロシア派的な発言に加えて、経済面では財政出動の強化を訴えます。右派の女性ですが、フェミニストではないそうです。
変化
欧州では、右派勢力の躍進が目立っており、直近は以下がありました。
- スウェーデンでは今月の総選挙で、ネオナチの流れをくむ反移民政党「スウェーデン民主党」が第2党に躍り出る。
- 4月の仏大統領選では極右のルペン氏が現職マクロン氏に敗れたものの、ルペン氏の健闘によって仏国内の政治的バランスは大きく右寄りに変動している。
「完璧にそろったポピュリスト復活の条件、欧州の今 – CNN.co.jp」を中心に、この重要な傾向を記載します。
以前から欧州のグリーンディールや、金融政策でインフレを助長しており、新型コロナウイルス感染症や、ウクライナ戦争で自体が悪化しており、生活費高騰の危機が政府や欧州の精度を揺るがしています。生活水準が落ちることで、人々が政府や政治体制に不満を抱くのは当然の流れで、その結果右派が躍進しているようです。
世界的な感染症や戦争のような未曽有の危機・変化においては、確実性や安定を強く求める心理が働きます。エネルギー危機やインフレ、食料不足、移民といった現実の変化や脅威に対して、人々を団結しやすくなるようです。
また、左派の民主党は高学歴エリート、高齢者、大企業の既得権の擁護に回るため、平時であれば問題なかったものの、危機状況下では一般市民からの支持を受けにくいようです。
これらの状況から、今は右派が支持を受けやすい社会情勢になっているようです。
左に舵を切っていた欧州が、危機を受けて右に寄り戻されているのかもしれません。
結論
イタリア初の女性首相ジョルジャ・メローニ就任の速報でした。
今月初めの「政治: 2022-09-06就任のイギリス新首相リズ・トラス | GNU social JP」に続く、欧州の首相交代でした。イギリスと異なり、初の女性首相で、左派→右派への第一党の転向ということで、大きな影響のある変化でした。
インフレ、感染症、戦争を受けて、左から右への転向が、欧州の政治情勢の大きな転換点になっているようで、当分はこの動きに注意が必要そうです。
イタリアはドイツとともに第二次世界大戦では日本と同盟関係にありましたが、その割には現代ではほとんど交流がないように感じています。今回の首相交代を受けて、情報や交流が増えればよいなと個人的には思いました。
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